ABS (asset-backed financing securities)というのは売掛金の割引を証券化したもののことをいいます。日本の金融では手形割引がメジャーです。一方、アメリカでは小切手は一般的ですが、手形はあまり発行しないため、アメリカの銀行では割手という融資体系が一般的ではありません。そのかわり、売掛金を担保に銀行から融資を受けるケースが多いのですが、それを銀行融資のかわりに投資家から資金を募れるよう、証券化したものをABSというのです。

住宅ローンを債券化して玉石混交にし、投資家から資金を募れるようにしたのが、かの有名なサブプライムローンです。基本的に両者は同じ仕組みですが、ざっくり言えば、ABSのうち、中身のわからないものが、サブプライムローンだったと区分けして間違いはないでしょう。

ABSが必要な仕組みの例を説明しましょう。

例えば、クレジットカード。私たちは買い物や食事でクレジットカード決済をよく使います。特にアメリカ人は、クレジットカード決済のできないお店に行くのを面倒くさがります。日本人でも、忘年会の幹事だったりするといちいち現金決済なんて大変です。クレジットカードが使えないのに行くお店は大衆酒場ちどりあしのように、よっぽどの値打ちがないと好んでは行きません。

さて、私たちがレストランで食事をしてその支払をクレジットカードで行ったとします。レストランにしてみたら客の払った食事代は当日現金で手許には入りません。クレジットカード会社が加盟店料を差し引いた決済資金を振り込んでくれるまで待たなければならないのです。それは加盟店との力関係にもよりますが、通常1ヶ月から2ヶ月以上かかります。その間もレストランは家賃やバイト代を支払わなければなりませんので、クレジットカード会社が倒産することもないだろうという信用を前提に、言わば前借りするわけです。日本ではそんな時、ノンバンクがお金を貸してくれますが、アメリカでは証券化して広く投資家を募ろうという発想になるのです。



とすれば、誰相手の売掛金かによって信用力も金利も大きく変わってくるでしょう。やはり金利よりも信用力を優先したいところですよね。もっとも信用力のある相手は誰でしょうか。例えば、国が建設するダムの請負業者が、売掛金をもっていたとします。売り先は国ですから100%回収が見込めます。そんな売掛金が担保なら安心です。支払期限までの期間にもよりますが、このファンドでは売掛金の80%から85%の割引率で買い取ってきたものを分散投資してファンド化しているのです。

となると、この種ファンドのリスクは、貸出先が焦げ付いた時、となるわけですが、しかしこれはさほど心配はありません。なぜなら、売掛金をしっかり担保として徴求しているので、融資先の破綻よりも、売掛金を払ってくれる会社の心配をしたほうがよいからです。


しかし、極めて重要な問題があります。それは、その売掛金が実在していたのか? という投資にあたって基本中の基本の問題です。私達投資家仲間でも、はるか6,7年前にこのファンド、つまりARGYLE FUNDS SPC INC.については投資妙味があるかどうかよく吟味したものですが、その結果、投資には至らないと判断し、どなたも買わなかったという経緯があります。

現在ではGrand Court of the Cayman Islandsの監督の下、管財人である、FTI Consultingが精算の活動にあたっていますが、レポートを見ても明らかに債務超過であり、精算配当があるとは思えません。



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