預かり資産GBP2.9Bという中堅どころの独立系運用会社、Miton Asset Management Limitedのファンドを取り上げるのが久しぶりになってしまいました。久しぶりですから、ミトンの十八番でもあるマルチアセット、つまりこれ一つで分散投資を完結させてしまおうというワンストップ型のファンド、CF Miton Cautious Multi Asset Fundを取り上げます。

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ただ、これはワンストップ型といっても、それはあくまでもイギリスに住むイギリス人がローカルな観点からみて、分散投資が完結するというタイプのものです。Brexitの投票結果をみてもわかるように、いくら金融制度が日本より20年は進んでいる、英語を母国語とする、自国の産業は金融と不動産が中心、と言ったところで、イギリス人全員の金融リテラシー(知見)が高いわけでも、全員が国際派ってわけでもありません。

正直、「まるでわかってない」人も(日本よりはるかに少ないものの)たくさんいるのです。そのまるでわかってないレベルから脱却して、いよいよ投資はしとかないかんね〜と思い始めたドメスティック(インターナショナルの反対の意味)なイギリス人が取りあえず、ミトンに任しとこ、と言う感じで始めるファンドなんです。このファンドはGBP381Mというそこそこのサイズを持っていますが、このうちほぼ全員がイギリス国内の個人投資家であることからもそれが伺えるでしょう。

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ですから、上表の投資ウエイトをみても、コーシャス、つまり慎重派のワンストップ(それでもアクティブでグロースです。日本人感覚の守りオンリーではありません)ですから、債券へのウエイトが先にきますし、ドメスティックなファンドなので、UKへの投資が先にきます。

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よって、日本人から見ると、このファンドに投資すれば分散投資が完結するってものでもないんです。
じゃあなんでブログで取り上げるん、って? そりゃ実績があるからですよ。1998年の年初からスタートしたこのファンド、紆余曲折ありながらも、20年で資産を3倍に殖やしていれば、そりゃ一般投資家も文句は言いませんわ。

じゃあ、日本人が実績重視で、勝馬に乗っかれ的に投資するのもアリ? その答えはYes and No です。まず、Yesと思える日本人は誰か? イギリス・ポンドで長期的に利益を得たいと考えている人です。上図の実績はイギリス・ポンド建てですから、自国通貨建てでしか自身の資産の増減を考えていないドメスティックなイギリス人からの見た実績は、「イギリス・ポンド建ての資産構築も面白いよね」、と考えるインターナショナルな日本人に合うこともある、という論法です。

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Noの理由はこうです。インターナショナルな日本人は自身の投資で基軸通貨をアメリカドルにセットします(もちろん私もそうです)。すると、GBPUSDのポジションを取りたい時、去年からの塩漬けになっているポンド建ての資産の間合い運用にしたい時、など以外はアメリカドル建てを選ぶことでしょう。

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すると、通貨クラスの違いによる、パフォーマンスの違いにぶつかることになります。このファンドは為替ヘッジはしていませんので、GBPUSDによるパフォーマンスの差異が如実にでてしまいます。

イギリス・ポンド建てならあんなに魅力的に見えたパフォーマンスも、ドル建てでは見る影もありません。ね、これでYes and Noのカラクリがおわかりになったことでしょう。

ミトンのイギリス国内ファンドは直接投資ができません。生保系の各ラップ口座を利用することになります。

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