投資家にとって、どんなファンドが売れているのか、また解約が殺到しているのかという情報は、よほどの流行りモノ好きでもない限り、直接的に投資判断につながることはありません。が、日本人オフショア投資家というものは、日本ではかなりの変人扱いですし、よって周りに正しい情報を持った人がいないことから、たまにはこういう観点からトレンドも見ておく必要があるでしょう。

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そこで、2015年、ヨーロッパで最もファンドサイズの膨らんだ、Standard Life Investments LimitedのGlobal Absolute Return Strategies Fundを取り上げてみます。このファンドのサイズ、1年でEUR10B以上も増えてGBP26.2Bにもなります。ファンドサイズを見るのに一つのラインがUSD1Bです。日本円に換算すると1,100億円レベル。つまりUSD1Bもあれば、立立派なマグロサイズのファンドとして認められるわけですが、これは、そのマグロクラスをたった1年で10個分も飲み込んだと言えるくらいの、まさにクジラ級のファンドです。

そんなに人気のあるファンドならさぞかしパフォーマンスもすごいのだろうと、思いますよね。でもそうじゃないんです。リテイルクラスの過去1年間の成績は-4.5%とかえって下がっているくらいです。右肩上がりに誘惑されやすい日本人ならまず、こんな現象は起こりません。現に日本では三井住友トラスト・アセットマネジメントがGARSファンドという名前でオンショア化してファンドオブGARSファンドとして投資信託を販売していますが、ファンドサイズも10億円を切っており、イギリスなどでめちゃくちゃ人気がでているファンドを扱っているとはとても思えない状況です。

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ゃあ、日本人が気がついていないと思われる、このファンドの魅力は一体どこにあるのでしょうか? マルチアセットでロングショート戦略だから、これからの不安定な時期に対応ができる、そもそもスタンダードライフの名前が付いているから大手で安心、今が元気ないだけで、2006年から通してみると輝かしい実績を残しているから、など、いろいろと長所はあります。またファンドサイズが大きいとは言っても、ファンドマネージャーが人の頭脳でリスク管理しながら取引を進めますので、ウィントンのように機械じかけでデカい玉を一つのマーケットにガツガツ入れてきたりはしません。
たしかに、Garsは良いことばかりで短所がないファンドではあります。しかし、それだけでは、他にも絶対利益追求型のファンドはいくらでもありますから、極端にGarsに人気が集中することもないでしょう。


もちろん、投資家の判断につながる動機は人それぞれですから、Gars人気にひとつの大きな理由があるとは思いません。が、Key Investor Information Document(日本ではさしずめ要約目論見書みたいなもの、ちなみに、プロスペクタスとは目論見書、ファクトシートとは月間報告書に相当)を見ると、なんとなくこれかな、という点を発見しました。

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それは、信託報酬が年率1.31%であることです。これはロングショートを使った絶対追求型のファンドとしては激安で、ロングオンリーのETFやヴァンガードも顔負けなくらいです。しかもパフォーマンスフィー、つまりハイウォーターマーク方式成功報酬がゼロです。昨年からどこに投資してもなかなかパフォーマンスがでないという状態にあえいでいるわけで、投資家のコスト意識もぐっと高まっていることは事実です。

このように、どんどん攻めていくアクティブなファンドではなく、どちらかといえば守り系のファンドは、これからますますコスト競争も激化していくと思います。私達もラップ口座代を支払っている分、代わりにファンドの購入手数料を無料にさせて元を取っていますが、投資方針が似ているなら信託報酬についても、一つの判断になるように考慮していく必要がありそうですね。ちなみにオンショア投資信託でGarsを購入すると信託報酬はトータルで年率1.606%程度なるそうです。オンショアに再組成するとバカ高くなるかとおもいきや意外と良心的です。

イギリス籍なので日本にいながら直接投資はできません。RL360 PIMSなど各ラップ口座を経由して、販売手数料が全免になるメリット受けつつ購入することになります。

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