リーマン・ショックでは、信用不安に歯止めをかけるためには、たとえ証券会社は失っても銀行を倒産させることはできない。という判断になりました。そんなに守るべきものならNHKなみに全部国営化せえよ、という話もあるのでしょうけど、なにしろ銀行が大きすぎて多すぎて、キプロスのように突然バタバタを淘汰でもされない限り、普通のサイズの国では、政府が全てを完全管理することはできません。

そこでヨーロッパ方面、特に国(政府)は小さい、しかし銀行はバカでかく、完全管理なんて到底できっこないというスイスあたりでは、とにかくプロだけでなく預金者でもわかり易い数字を使って縛るしかありませんから、金融危機に耐えうるだけの自己資本比率をキープしているかどうかを気にするのがトレンドになっています。その流れが徐々にドイツやフランスなどの大陸系EUに広まりつつありますが、しかし島国イギリスは、自国の産業が金融と不動産がメインなだけあって、あまり単一的に縛りをかけたくない様子というのが、現在の銀行の自己資本比率規制をとりまく環境です。

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と、ここまでは金融業界にいる人でなくても、大してニュースを読んでなくても、まぁ大方そんなところやろねぇ~と、専門的なことはさておき、トレンドは理解し容易いと思います。

しかし、銀行、その当人たちの問題は、実際に自己資本比率をどうやって上げるか、その増強方法です。自己資本の増強と言えば、先ずは儲けて配当を抑え自己資本に組み入れること。そして、教科書的に言えば、株式の第三者割当増資などを使って、株式資本を増強したりします。とはいえ、銀行の本業で儲けたくても、融資したらリスクウエイトの絡みで自己資本比率は下がるし、無リスク運用として国債ばかり買っていても一向に儲かる気配もないしで、とにかくジレンマから開放されることがありません。

その狭間を突いて、様々なノンバンクビジネス系ファンドが活躍してくれることは、私達にとっても投資の選択肢が広がるため、ありがたいことにはなってますけどね。

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こんな環境ですから、銀行も規制当局ももっと簡単に自己資本比率を上げることのできるウルトラCは無いやろか~と知恵を絞るわけですが、そこで登場したのが、ココ債券とかココスとか言われるものです。

正式名称はContingent Convertible NotesとかContingent Convertible Bondsとか言われており、日本語ではネーミングがあまり的を得ていませんが偶発転換社債と呼ばれています。Financial Timesにその用語の定義が記されていますので参考にしてください。

Contingent Convertible Bondsを直訳とすると、「普段はただの債券やけど何か起こったときはCoCo壱番に株式に組み込ませていただきまっせ」という債券です。もちろん、諸条件は詳細に決まっています。

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これを、難しく言えばリアル・オプションの売りを組み合わせたような債券で、私達の扱うものの中で一番近いものがATE保険ではないかと思います。本件をATE保険に当てはめると、保険屋さんサイドが投資家サイドになります。裁判に負けた、以外にも期間が長引いた、そもそも事案から降りたいなど、ちょっとばかり身勝手な条件でもATE保険は請求されるようになってますよね。それと同じように、銀行は大口の焦げ付きを作ったりして自己資本比率が足らんようになってきたと思うと、コンティンジェント(非常)な状態として、その債券を発行して借り入れていた資金を、償還しなくてもよい自己資本に転換してしまうこと等ができるのです。もちろん、なんか起こった時、ですから株価は下がっているはずです。そんな時にその条件は詳細に決めれています。

普通の転換社債(CB)なら株式に転換しなくてもそのまま債券で持っていることもできますから、リアル・オプションの買いです。しかしココ債は突然勝手に株式に交換されてしまうリスクを持っています。

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そんなココ債は、当然、通常の銀行が発行する社債よりもはるかに高い利回りを得ることができます。例えば、ソシエテ・ジェネラルでは先月、既にEUR900Mのココ債はウリダシ済ですが、その利回りはなーんと8.125%です。それぞれ発行した時期や非常事態となる条件が違うので利回りだけを一義的に比較はできませんが、サンタンダールで6.25%、バークレイズが8.25%、クレディ・スイスが5.75%、クレディ・アグリコルが8.125%、ベルギーのKBC5.625%など、もはやココス祭りでゴロゴロ出回っており、いよいよドイツ銀行なども参戦が見込まれて、FTによると今年の発行額はEUR50Bにものぼるようです。

では、オフショア個人投資家として何に気をつけなければいいでしょうか?ココスは個人投資家が直接買うものではないので、私達の手に入るとすれば、それはファンド経由です。特に何でもアリ変化球債券ファンドではよりどりみどりと買ってきます。こういったファンドは普段の利回りが高く、何か起こったらガクンを下がる性質を持つことになります。

ことオフショア投資に関しては債券ファンド=安全パイという概念は捨て、古典的な安全パイファンドなのか、捻って攻めるファンドなのかはよく見極める必要があります。もちろん、私もどんどん攻めていきたいところですが、一番大事なのは自分の考えているリスクと商品の持つリスクが違っていたというのが悲惨です。今日はこれからは債券ファンドもリスクのすりあわせが大事になってくるというお話しでした。


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