イギリス学生寮を経営するファンドにとって、最大の関心事は、新学期の空室率をいかに抑えて満室御礼でスタートできるかでしょう。これこそが本業中の本業だからです。ですが、私達のようなオフショアファンド投資家にとっては、この本業部分の業況チェックは半分しかフォーカスしていません。

ところで、年率8%(しっかりとした金融機関で新人研修も修了できなかったような三流もいますが、Mansionも含めた分配金を出さない投資信託には複利という世界はありません)が複利で安定的にどんどん増えます、外貨定期預金の代わりですなんて売り込んでいる有象無象もいますが、Mansionを含めたイギリス学生寮ファンドというビジネスは安定どころか、同業他社との凌ぎ合いの中、厳しい世界で切磋琢磨している現実を知らなければ投資することはできません。

MansionにしてもBrandeauxにしても、本業中の本業の部分がパフォーマンスに反映するのは有象無象曰くの8%のうち4%から5%の部分だけです。残りは、、、、

4月の大井町での勉強会でこの話をしましたが、この残りの要素で安定的にパフォーマンスを安定的に積み上げるには、ファンドサイズを安定的にしなければなりません。少なくなりすぎてはファンドの解約一時停止措置などが発動されてしまい、流動性リスクが顕在化してしまうので、一般の投資家にもそのシナリオが良い話ではないことはよくわかると思います。

ところが、購入が急激でファンドサイズが膨らみ過ぎてもよくありません。特にその1,2年前からエントリーしている既保有投資家にとってアゲンストです。

このあたりの勉強会は商事系訴訟対策ファンドが落ち着くであろう6月以降にじっくりやりたいと思っています。

それまでに、私のほうで調べておきたいと思っていること。それは同業他社の動向です。イギリスでは毎年50万人とも60万人とも言われる人達が大学に入学していますし、一般の学生寮に入る割合が4割として4年分積み上げると、80万部屋が必要になります。これになんちゃって語学留学などのニーズ入れるとマーケットは100万部屋あっても足りないかもしれません。それに対し、最大手で3万部屋、3位と思われるBrandeauxですら1.5万、5位あたりと思われるMansionで5千です。数字は面倒なので全部千単位です。自前保有以外にもClubeasyのように仲介にフォーカスしているファンドもあります。これを勘案すると、他のファンドが参入するチャンスもまだまだあるのではないかということです。

東横インも、新幹線も充実し日帰り出張がトレンドの日本において、最初はビジネスホテルなんてと思われていました。しかし、今ではすっかり基盤を固め、安いならせっかくだから泊まってしっかり仕事こなすとか、研修施設なんか廃止して新入社員は全員東横インに押しんで貸会議室で研修すればいいという大企業まで現れ、確実に新たなマーケット需要を創生しています。

イギリス学生寮もまさに新たな需要を呼んでいるマーケットなのでしょう。外国人留学生にとっては、治安の問題もあって、一般のアパートよりもコンシェルジュが24時間待機している学生寮に住んだ方が安全ですしね。なお、Brandeauxでは外国人新入生の入居が決まったら、その親も数泊一緒に体験宿泊できるサービスもあります。程よく子供の監視体制あることを耳打ちすれば親もイチコロでしょうね。

http://www.russellgroup.ac.uk/uploads/t_main_17_qub_8.JPG
さて、本題ですが、チョット前のフィナンシャル・タイムズFTfmにちょこっと記事がでていたので気になっていたのですが、またイギリスで学生寮ファンドがスタートしたようです。まだ、中身がわかりませんし、先方と直接コンタクトがとれたわけではないので、投資対象になるかはわかりません。が、BrandeauxやMansion、Clubeasy、コーラルの研修を進める意味でも重要だとの認識から記事にしました。

いつものように直接コンタクトを取ってのナマ情報ではなく、新聞とサイトからの一般的な情報です。

The Student Accommodation Opportunity Fund LFP 1 SICAV-SIF SA (“SAOF”)ですが、まず目標利回りは10%から11%とまぁまぁ普通の学生寮ファンドです。が驚いたことに、このファンド、上述の学生寮ファンドの仕組みを包み隠さず、本業中の本業からの目標を6.25%、物件の評価益を購入してから18ヶ月だけ組入れ、その目標を5%とブレイクダウンしているのです。
信託報酬は年率1.5%とBrandeauxよりちょっと安め、ギアリングレシオは最大6割として設立当初のMansionと同じくらいの設定です。

先月にスタートしたばかりですし、実績もまだ見えてきませんが、新設ファンドというのは往々にして既存ファンドの欠点を改良してマーケット参入を狙うものです。Mansionが新進気鋭だったころもBradeauxに追いつき追い越せだったわけです。

繰り返しですが、まだ買うに値するかはわかりません。が、ラッセル・グループと密接な関係があり、各大学と提携して学生を取り込んでいく戦略のようですから、ポッと出のファンドではありません。常連読者の皆さまにとってウォッチリストにはいれておきたくで今日の記事にしてみました。

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12日午前の大崎はまもなく満員御礼締切です。