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安定したパフォーマンスを維持し、ボラティリティもシャープ・レシオも低く、株式市場などとの相関性も低いファンド。これらを売り文句にするファンドほぼ全てにつきまとうのは流動性リスクです。これはパフォーマンスチャートには表せませんから、一般の個人投資家は教わらないと気が付きませんし、バックマージン欲しさで売り込みたいだけの有象無象はそれを教えません。

もちろん、このブログの読者は、それとは一線を画し流動性リスクの存在についてはご存知だという前提で話を進めているわけですが、それでも流動性リスクはミティゲーション(極小化)させたいものです。

上述が謳い文句のビジネス系ファンドには流動性リスクがつきものですが、ではどのようなビジネス系ファンドが比較的流動性リスクが低いのでしょうか?これは難しい質問です。なぜなら、各業界で脈々と行われているそれぞれのビジネスというものは、決して一つのものさしで測ることはできないからです。

イギリスで学生寮を経営するBrandeaux Student Accommodation Fundの持つ流動性リスクと、ガーナやもっと奥地の金鉱山で買付をしているKijani Commodity Fundのそれをどうやって比較することができるでしょう。

しかし、だからといって諦めていたのでは、自画自賛の名がすたります。定量化はできないまでも、イメージ分析くらいはしてみたいですよね。では何をイメージすればいいでしょうか。それは投資対象とビジネスモデルの二分類で十分だと考えています。また、貸し倒れというのは元本欠損リスクと捉えて、別の話にし、ここでは解約したくても解約に応じてもらえないという純粋な流動性リスクについてだけ考察します。

まずは、投資対象の観点から。不動産、つまり財務諸表ベースで表現すると、固定資産の土地、建物、付属設備といったところ。ここに投資しているファンドに解約申出が殺到し、資金化を急がれるような場面があっても当然に対応はできません。学生寮ファンド、リサイクル施設ファンド、昨日紹介したLucentなどあらゆる不動産ビジネスファンドがこれに該当します。

次に、長期貸付金。融資先へ期限の利益を与えているわけですから、これも返済期限までは対応できません。訴訟対策ファンドなどがこれに該当します。

変わり種では、有価証券、でも保険証券。ライフセトルメント系ファンドのことです。
キジャニは売掛金ないしは受取手形(タイ米貿易の件では船荷証券)にカテゴリーされます。

ここで、お気づきの読者の方もいらっしゃることでしょう。土地や建物は何年経っても固定資産ですが、貸付金、リース債権、保険証券に関しては、長期のものであってもいつかは短期になります。ここでの長短基準は貸借対照表のルールに従って1年です。

ビジネスモデルの観点から言えば、不動産ビジネスファンドの流動性リスクは資産の入れ替えが無い限り、中身は変わらず総量も一定ですが、ノンバンク融資ビジネスや、キジャニのような商社ビジネスファンドは、期限のある資産に投資しているため、時間の経過と共に個別資産の流動性リスクは減少していきます。もっともビジネスを継続させるために各ファンドは新たな取引に臨み、つまり新たな資産を形成しますから、流動性リスクの総量は減少しません。しかし中身が入れ替わるというのが特徴です。

このように中身の入れ替わりが激しいビジネスモデルなら、業況の変化を掴みやすく、よりダイナミックに流動性リスクと向き合うことができます。

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よって、流動性リスクは、比較的短い期間で決着するような類の資産を保有し、かつ中身がダイナミックに入れ替わるビジネスモデルのものが。読みやすく、低いリスクだと言えそうです。

この観点でファンドをみていくと、候補に上がるのがPrestige Alternative Finance(PALTF)ではないでしょうか。これは、主に農家や農業法人、地元農協向けに、運転資金の小口融資や農機具などのリース債権で運用しているファンドです。

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しかもリース先、融資件数は1,957件(融資先は773件)にも小口分散されており、その債権の期限は平均で76ヶ月です。投資家には残存期間別の債権額も報告されており、期限は短期とはいえませんが、そのダイナミックさは十分臨場感のあるレベルです。2011年、2012年のパフォーマンスは6%台前半で推移しており、このことからも他のビジネス系ファンドに比べて、ローリスクローリターン型のファンドといえるでしょう。

このファンドは直接投資であれば、GBP60kが最低投資金額ですが、Momentum経由ならGBP15kまで落とせます。販売手数料は後払い方式のみで1年以内5%、以降1年ごとに1%づつ減少し、満5年で0%になります。これはMomentum経由でも同じです。

Brandeauxを投資するためにMomentumを開設している投資家も多いとは思いますが、折角口座を保有しているなら、少し資金を追加して、Prestige Alternative Financeを使い、ビジネス系ファンドどうしの分散投資という手法にも使えるのではないでしょうか。

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