トレンドフォロー戦略マネージドフューチャーズの大型ファンド、チューリップトレンドファンドは、株式が急騰するような場面ではどうしても色褪せます。トレンドフォローなのですから、ディレクショナルやグローバルマクロ等とは異なり、出遅れるのは当然のことだからです。しかしこのタイムラグを嘆く投資家ほど、ハナから自身の求めているものと違うものを買っていることに気が付きません。

尤も、チューリップは全て機械任せ、かつレバレッジも3倍。ボラティリティは2013年2月現在、年率換算26%台と日経平均株価よりも高めの数字にも関わらず、売買のタイミングが月に一回というのが、どんな投資家をも疲れさせる要因になっていることも事実です。

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上表はチューリップのドローダウン率ですが、下に大きく来ている月は瞬発的に疲れる時です。ただ、例え一時的にガクッと来ても、すぐに回復するのであれば体力はさほど消耗しません。しかし問題は灰色の面積が大きい部分。これは長期的に疲れが溜まる時です。これを見るとリーマン・ショックの戻りがでた局面以降は、瞬発的な疲労が癒せず、体力を消耗して疲れが溜まる一方であることがわかります。

またチューリップは、各マーケットに完璧なまでに分散投資を完成させているが故に、パフォーマンスが上下する要因が掴み辛いため、結果だけをみて批評する日生球場外野評論家の餌食になりやすいくなっています。もっともリテラシーが低い層のヤジや有象無象のセールストークには分析もへったくれもありませんが。他方、実際に損をしている人の割合が多いからこそ、調子に乗って実投資家でもないのにヤジを飛ばす連中も多くなるということもあります。

そこで今日は、どのタイミングで投資している人がポジティブ(プラスになっていること)で、どの月に投資した人がネガティブ(マイナス)になっているのかを、プレグレッシブキャピタルに頼んで表にしてもらいました。

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これは偶然の産物か、以前に記事にしたヘッジファンドの数も残高も急増した時期から突然のように真っ赤になっています。また日本においては、2007年9月に行われた金商法の大改正によって、海外の無認可金融商品を業として販売の媒介を禁ずることが明確化されました。以降、投資助言・代理業の登録があろうとなかろうと全て違法性のある取引と見做されることとなったため、イギリス等で正規のIFA資格を持っている、ある意味本物のIFAと呼ばれる人達が、自身のキャリアに傷が付くのを恐れ、ガイジンの経営するIFA会社は次々に日本からドバイなどに撤退しました。後は推して知るべし。金商法を知ってか知らいでか、有象無象だけが残った時期とも重なります。

そして、チューリップの預かり資産残高もこの頃から急増したことも勘案すると、日本人投資家のその殆どがレッドゾーンにいると言っても過言ではないでしょう。しかも多くが、有象無象のセールストークによって的外れなニーズで購入してしまっている。これがチューリップにアゲンストな主因だと分析します。投資家としての自助努力は代理店移管をして、無駄なサポート料や年会費を削るくらいのコスト圧縮防衛策(ファンドは広い意味での一任勘定ですから)と、リテラシー向上のためには勉強会に参加されるとか投資家仲間に入って切磋琢磨されるしかないのが現状です。

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次に、外野評論家でも有象無象でも、誰でもダウンロードできるパフォーマンス表ではなく、各マーケット別のパフォーマンスブレイクダウン表をアップしてみました。上表はクラスUSDDのものです。本当は月別のものもありますが、ブログでは年別だけを抜粋引用させてもらいました。これを見て気がつくのはチューリップのパフォーマンスは決して行って来いのものではないということです。

出来上がりのパフォーマンスだけみると、2009年に-25%と下げた分、2010年に+38%とゆり戻しがあったのかと想像しがちですが、このブレイクダウンを見ると。2009年に大きく下げたのは原油などのエネルギー関連で、2010年に上げたのはゴールドなどの金属関連と欧州金利裁定であり、ゆり戻しでもなんでもないことがわかります。2009年や2011年といった大きく負けた年は、赤字のセクターが多く、青字のセクターだけでは到底賄いきれなかったこともわかります。

チューリップはレバレッジ3倍であるが故、大きな賭けにでているファンドのように思えますが、その実、分散投資はしっかりなされており、各セクターそれぞれでトレンドフォロー戦略が機能しなければならないのです。それができるのはやはりコンピュータプログラムしかありません。人の目では追いつかないでしょう。チューリップとして満10年、トランストレンド時代からなら20年続くプログラムが変更されたことはありません。コンピュータプログラムで動いているCTAはプログラムをいじれば名前も変えなければならないという不文律というか絶対的な業界慣習があります。トランストレンドとチューリップがその名を変えない限り、このプログラムはランし続けるのです。

明日は、それでもチューリップは疲れるわ、という実投資家の方向けの解決策を記事にしてみたいと思います。

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