オフショアファンドには、ケイマン島、バハマ、バミューダ島、英国ヴァージン諸島(BVIと略します)、ダブリン、ジャージー島、さらにはモーリシャスなど、いわゆる大英帝国系タックスヘイブンで設立・登記します。これは当然のことで、投資信託で資金を集め、何かのビジネスをする際に、イギリス本土などわざわざ高い法人税がかかるような戸籍にしたら、私腹を肥やすような悪質な例ではないものの、ある意味、投資家に対する利益相反です。グーグルでもコールセンターなど事業税がかかるような業態はアイルランドに移し、法人税を1円でも安く抑えるような努力をしています。

ちなみに2012年末現在ケイマン島金融当局によると、わずか人口56,000人のケイマン島に10,841ものヘッジファンドが本店登記しています。次のBVIがせいぜい2千程度とのことですから、ケイマン島が世界ダントツのヘッジファンド天国になっています。一緒に行ってみます?キューバ経由で。


ところが、同じタックスヘイブンでも、それぞれに金融当局が存在して、それぞれに日本で言う金商法などの金融規制が存在し、かつ内容は異なります。もちろんマネーロンダリングの問題は世界共通で変わることはありません。これは犯罪撲滅が目的であって、もはや金融行政だけの問題ではないからです。よって、ファンド投資するにもその資金の源泉はこと細かく質問されます。それはラップ口座でも同じであり、特に親会社が南アで上場しているMomentumは毎年源泉徴収票や確定申告書類のコピーを要求されたりします。もちろん、こういったメンテナンスに関する交渉事は、全て一義的にアドバイザーが受けてくれ、投資家は最低限必要な資料を用意するだけですから難はありません。

そして、ファンドが確認しなければならないテーマがもう一つあります。それはKYC (Know Your Client)というもので、簡単に言えば、資金の源泉が明らかになっても投資家の筋が悪ければ資金を受け入れてはならないという理念です。ですから、引退済みでも元の職業や住まいの状況を細かく聞かれたり多少不愉快にさせられます。

聞かれるだけなら気分の問題で済むのですが、一番厄介なのが本人確認書類、住所確認書類のコピーが真正であることの認証です。

この厳しさは、ファンドの戸籍や、業態によってことなります。またその事務管理会社の戸籍や、スタンスはおろか事務レベルまで影響してくるので、申込時の感覚とは予想外に全く異なると言っていいでしょう。

まず、あらゆるオフショアファンドは本人確認書類、住所確認書類のコピーが真正であることの認証が必須であることを覚えておいてください。
その中でも大別すると、このコピーが真正であることを認証する権限を

  1. 正規アドバイザーに認証権限を与えているファンド
  2. 第三者による認証しか認めないファンド

があります。1はそもそもアドバイザーの審査をしっかりやっているから大丈夫という立場、2はアドバイザーはしょせん投資家サイドの人間なのだから、ファンド会社として100%信頼できないという立場です。どちらも正解不正解はなく、上述の事情によって1か2か左右されます。

ここで第三者とは誰のことでしょうか?日本では、行政書士、弁護士、公証人などが法的に認められた業として認証することができる有資格者になります。他には大使、領事、さらには警察官など公的機関職員でも可能です。さらに業としてではなく、個人的になら認証できる立場の人もいます。

ファンドのKYC方針が1でも2でも、投資家にとっては一つの壁です。この壁を乗り越えには誰かの手を借りなければなりません、これが有象無象がいろいろな名目で手数料をふっかけてくる口実になっています。では有象無象にヤラレないように、本来かかるべき費用だけで投資するにはどうしたらいいでしょうか?それはマトモなアドバイザーと付き合う、それ以外にありません。

KYCプロセスというのは関係各国の法的根拠のあるガイドラインであって、本来そこに収益機会はありません。投資家もアドバイザーもファンド会社も順守して当然のことなのです。ですからこのプロセスを利用してアドバイザーがファンド会社の知らない所で、投資家から収益を得るのは不当であると断じてよいでしょう。また、投資家サイドも、自分の書類は自分で行政書士に認証を依頼することは当然の基本動作であるということを認識しておかなければなりません。

金融だけでなく海外取引というのは、「お客様は神様」という発想は絶対にありません。ファンド会社と投資家はビジネスパートナーとして常に対等で、お互いに敬意を払う必要があります。オレは投資家、客なんだぞというノリでオフショア投資しようとすると、マトモなアドバイザーからはそっぽを向かれ、気分だけアゲアゲしてれる有象無象にひっかかって終わりです。

それも、私たちとは別世界。勉強会などでリテラシーを深め、無駄なところにお金を捨てず、必要な手続を粛々とこなし、オフショア投資を進めていきましょう。

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今日は年に一度の恵方巻きデー。家族みんなで美味しくいただきます。1日遅い?ええ、もちろん。我が家の恵方巻きには半額のシールが貼ってないと福が来ないもので。