それはオーストラリアドル対スイスフランです。お互いに主要国通貨でありながら、両者の関係は、産業構造の比較や貿易統計等から考えても殆どないと言っていいでしょう。一見経済的には殆ど関係ない両国の為替取引は当然に細い、と思いがちですが、ところがこの通貨ペアは世界的には結構な取引量が手がけられているのです。
この通貨ペアが手がけられる理由もまたシンプル。世界経済が好調→コモディティ価格の堅調推移との連想からオーストラリアドル買い、一方で世界経済の不調または地政学的リスクの高まり→危機回避のイメージからスイスフラン買い、の対極的な材料が存在します。これはもちろん先日のスイスフランを買い上げてすぐ売られるような投機的な動きが目立つこともあるにはありますが、本来はデイトレードあるいは短期的な材料ではなく、世界経済の動向を見越して徐々に発生する中期的なフローとして捉えるべきものです。

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チャートでは世界経済にブルなら上方向、すなわちオーストラリアドル高スイスフラン安方向、世界経済にベアなら下方向、すなわちオーストラリアドル安スイスフラン高に動きます。
細かい歴史の授業は割愛しますが、世界的なIT景気から、9.11とイラク情勢、その後の成長、サブプライムローン問題からリーマン・ショック、その戻り、ギリシャ危機と素直な上下動が見て取れることがわかります。この中で誰の目にも明らかなのはリーマン・ショック後の戻りは、実体経済の回復に比べて急激すぎた、ということです。急激すぎるものは調整されます。
現在は調整後の半値戻しから61.8%戻しのある意味、心地よい水準です。世界経済のセンチメントはリセットされたニュートラルな状態と言えるでしょう。
ポイントはこの世界経済のセンチメントを表すベンチマークと言うべきオーストラリアドル対スイスフランの水準がニュートラル、しかし日本人の世界経済に対するセンチメントは弱気一辺倒。
この差をどう捉えるかを考えていただきたかったのがこの記事の主旨でした。

おわり