この話題、はよ完結させてんかーというメールをたくさんいただきましたので、一気に行きたいと思います。なお、勉強会で話題にしました、テクニカル分析とは全くことなり、こちらはファンダメンタルズ分析からの切り口です。

もう一つ、長期予想とか中期予想とか何気なく書いていますが、短期(1年以内)はともかく、一体中期と長期の線引きはどこなんだというご質問もいただきました。正式な言葉の定義はありませんが、こと為替の予想というこの話題に関しては、景気循環1つ分以上先を長期、それまでを中期としてみたいと思います。一番短い景気循環をキチンの波(40ヶ月程度)と言いますが、内閣府の発表する日本の景気基準日付をみるともう少し長いようです。そこでキリの良い最長5年、最短1年を中期の基準としていいのではないかと考えています。



前回までドル円相場を中心に話を進めてきました。この中でフローの方向性や流量を決定する要因は、基軸通貨や主要国通貨であればあるほど複雑化するということがお分かりいただけたかと思います。ただ、この記事は私からこれらを並べて今後円安だ、円高だと主張することが目的ではありません。読者の皆様に頭の中を整理してもらい、一つの要因だけをことさらに煽る話、浮いた話に流されないようにしていただくのが目的です。

そこで、前回までと検証通貨をかえてみましょう。ドル円相場は複雑度で言えば、★★★★☆です。少なくとも世界の通貨の中で最も複雑な要因を持っているアメリカドルや、日本サイドの話題だけなので、少なくともアメリカドルの半分以下の複雑さではあるものの、それでも先進国としてのプレゼンスがあり、様々な角度から検証しなかればならない日本円との通貨ペアですから。もちろん複雑度★★★★★はユーロドル相場でしょう。ユーロという通貨の性格を考えれば想像に易いと思います。

いずれにせよアメリカドルを相方にすると複雑度がアップしてしまいますので、簡単化の為に米ドルは外しましょう。しかしそこでユーロ円にしたりユーロポンドにしたところで、前述の通り★の数は落ちません。ただ、あまりマイナーな例えばケニアシリング等を相方にしても勉強にはなりませんから、ここでは主要国通貨でありながらシンプルなオーストラリアで見ることにします。
オーストラリアなら25年間好景気で、相手の景気循環がありません。政治的な要因や地政学的リスクも殆ど無視できます。どちらかと言えばコモディティ価格がその手がかりになっている程度です。干ばつや洪水というのは景気に影響を与えるというよりはコモディティの生産量という角度から材料視されています。オーストラリアドル円なら★★★☆☆位まで下がりそうですね。

オーストラリアと日本を比較するのはかなりシンプルです。低金利↔高金利、加工貿易国↔資源輸出国、不景気↔好景気、財政不安↔財政黒字 など、これだけみると対極すぎて、豪ドル高円安は当たり前のようなイメージを持ってしまいます。これはごく自然な発想で私もそう思います。ただ、いくら潤沢な資源を埋蔵していても、地下に眠っているだけでは、ただの土です。つまり買い手が必要なのです。買い手はどちらか?それは日本です。オーストラリアの対日輸出額は対日輸入額の4倍程度です。つまりいくら対極で原則は豪ドル買い円売り基調とはいえ、行き過ぎれば調整がはいるという仕組みです。

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2000年からのチャートを見るとよくわかります。IT景気以降、世界好景気によるコモディティ価格上昇すなわちオーストラリア国土の価値上昇とオーストラリアドル高金利によって円から豪ドルへのフローが着実に積み上がり、サブプライムローン問題をピークに、リーマン・ショックでフローが引き上げられ、落ち込んだことが見て取れます。リーマン・ショックでも安泰のはずのオーストラリアがこれほど売り込まれたのは、それまでのフローが一方通行だったからです。↔の材料によって日本からオーストラリアへのフローの蓄積があり、これがリーマン・ショックでリセットされたと考えると、リーマン・ショック後の底値が2000年のシドニー・オリンピックのレベルに同じくしている、つまりオーストラリアが投資対象として一人前になったいわばスタート時点に戻ったのだと考えることができます。

現在はそのちょうど半値戻しくらいのレベルです。今後、やはり↔の対比を勘案すると、フローが蓄積すると考えれば豪ドル高、日本のマネーは引き上げるしかないと考えれば豪ドル安、と随分シンプルな考え方で対応できることがわかります。

では、勉強のために、もっとシンプルにできる、主要国の通貨ペアはないのでしょうか?

これ以上仕事サボるとリーマン・ショックくらい危険なので、
やっぱり続く。にします。