しかし、リーマン・ショック、いや特に最近、日本からアメリカへのフローを著しく増やしたプレーヤーがいます。個人マネーや機関投資家が円高による為替の損切りをおしてアメリカから日本へ資金をフローさせたのとは対照的です。つまり前回の記事で、私はフローによる円高リスクは限定的としましたが、そのプレーヤーが動かないだろうという前提です。彼らが自身の資金をアメリカから日本へ資金を振ったら、とたんに1ドル50円です。

それは財務省・日銀です。世界二位を誇る、外貨準備のことです。日本株式会社は元来黒字会社(貿易黒字のこと)ですから、外貨準備は自然に少しづつ積み上がります。しかし、それだけでは世界第二位にはなりません。なぜなら先進国日本にとっては外貨準備なんてただのお荷物にすぎません。ところが、円売りドル買い介入をすると否応無く急激に積み上がるものなのです。

介入の仕組みは意外と簡単で個人のFXと全く同じです。円をマネー市場から借りてきて売り、買ったドルは米国債で長期運用しているのです。介入資金は政府保有の現金でも日銀が印刷したお札でもなく、借りてきたお金だというところがポイントです。介入すると介入した分だけ日本政府の借金が増えるのです。しかしこれは無駄な公共投資に使っているわけではなく、相手方の米国債をして資産計上できますから、アメリカがデフォルトにでもならない限り担保されています。なお、ここに米国債の格下げ問題は全く関係ありません。為替介入するという決断には、どんなことがあっても米国債を保有するという決断も含まれているからです。

よってもし日本政府が米国債を売ったら、私の論法は根底から崩れます。その前提で話を進めているとしてください。

さて、話を戻して、相手方、つまりアメリカ等の外国から日本へのフローについて考えてみましょう。日本へ投資してみたいと思うプレーヤーがいれば、ドルから円へのフローが高まり、円高になります。資金を引き上げれば円安です。そのことを整理すると、ガイジンの資金は、日本企業買収や不動産購入等の非金融を除けば、日本株に一部資金があるだけ、日本国債に至っては95%が国内消化です。これでは引き上げる資金も殆どないことになります。とすると現有のガイジン資金によるフローではあまり円安要因にはなりえません。日本人マネーが大方撤収済で、外国から日本へのフローがおこらないのと同じです。

日本人もガイジンも現有の資金を撤収させる(日本人が撤収は円高要因、ガイジンの撤収は円安要因)ことによってフローを起こす力は限定的というわけです。

撤収サイドは取るに足らない、とすると進出サイドを検討することになります。日本人が外国への投資を増やすと円安要因、ガイジンが日本への投資を増強させると円高要因です。

では、ガイジンの資金が日本の金融マーケットに戻ってくるのはどんな時でしょうか。そのキーワードは円安、株安、債券安です。
今後、仮に円安に振れても、安くなれば、バーゲンハンターがやってきます。日本の技術力は流行のすぎた洋服とはモノが違いますので、必ず買いが入ります。このことから例えば1ドル180円といった行き過ぎた円安もシナリオに入れる必要がないことがわかります。
今後、株安なら、ガイジンの前に日本人が買いますから。為替のフローに大きな影響がでるほどのインパクトはないでしょう。
今後、債券安、つまり日本国債の金利が上昇する。これはシナリオとして想定できます。昨年記事にしましたが、IMF試算では公的債務と個人金融資産残高が4年後には逆転することが引き金になります。さらに5年後には国債の残高が個人金融資産残高を上回ります。ここで、日本国債を吸収できなくなり、必然的に長期金利が上昇するのです。これはほぼ回避できないシナリオでしょう。ただしこれもバーゲンハンターがやってきます。目処としては米国債の金利を上回った時あたりでしょう。もっともこれは10年後の話です。これが現実になるのは10年後だとしても10年後に確実に残高が逆転し、赤字国債発行が国内消化できないことが広く認知された時点で、フローは先んじて動きます。
つまり、これは長期のシナリオを前提とした中期のフローを起こす材料というわけです。

つづく
仕事に戻るため


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