ギリシャ云々を語る前に心しておきたいことがあります。それは日本は景気も財政状態も一番悪いということです。いちいちIMFの統計を引用してこなくても読者の方には釈迦に説法でしょう。ここで数字は省略です。
ではなぜ、日本がこのような状態にまで落ち込んだのでしょうか?これはみなさんの中でも諸説あると思います。しかし実はその答えは至極簡単。なぜなら政策も企業も国民もリスクを取らなかった。ただそれだけのことです。

バブル崩壊以降の日本の景気は、世界の経済状況が悪化したときはモロに影響を受け、そのリバウンドは取り逃すというサイクルを繰り返してきました。例えば、2000年、アメリカのシリコンバレーから始まり、欧米はもちろんインドまで盛り上がったIT景気というのがありました。日本ではITバブルと揶揄していましたね。IT景気というのは、雇用なき景気回復と言われるだけあって無情です。というのも、人の手から機械にシフトするための一時的なプログラミングや設定作業を人が総出で行うのですが、ひとたび機械が順調に稼働し始めれば、造った人は切られます。非正規雇用とか下請けとか、派遣切りとかという問題が起こり始めたのもこの時期です。しかし、欧米人やインド人は悲観的にはなりません。リストラされたことを後ろめたく思うことも全くありません。たとえ切られても次にもっと良いところがあればいいのですから。そして現にIT革命は続き、次々のIT化を進める企業や役所が増えてきます。しかも5年経てばパソコンと同じでそろそろ更新需要もでてきます。こうやって人は雇用なき景気回復に対応してきました。

ここで注目すべきは、国家財政です。国家財政の源は税収です。税収は恐ろしいくらい景気に左右されます。というのも、好景気なら法人税や消費税がジャブジャブ入ってきますが、ひとたび不景気に陥ると、税収が下げるだけでなく、加えて財政を出動させなければなりませんから、ダブルパンチです。国家財政は個人や企業よりもずっと大きい景気のリスクを負っていますし、金融・経済政策当局者というのは一般企業以上に商売センスが必要になります。

2000年のIT景気で欧米、アジア各国は税収を増やし、一気に財政状況を改善していたのです。それが時を経てリーマンショック後の景気悪化時、欧米各国ともカツカツながら財政を大型出動するだけの余裕をうんだのです。

一方日本はどうだったのでしょうか。1998年には山一拓銀危機がありましたが、国家の混乱を恐れて、預金保険を奮発、実質的に4兆円を新生銀行に、2.4兆円をあおぞら銀行に貢ぐ形で事無きを得ることを選択しました。また金融系でない一般企業で憂き目をみたのはダイエーくらいなものでしょう。その結果、企業では大きなリストラを断行することはありませんでした。さらに個人は預金保険に食い下がり、国の財産を13兆円も無駄遣いしたことに気が付きません。

各国が身を削り、思い切った決断を取ってはじめて勝ち得たIT景気です。公共、企業、個人の3部門ともにリスクを取らなかった日本は、当然にこの大きな波に乗りそこねました。ここで他国のように税収が増えなかったことが、今の危機的な財政状況を招く主因となったのです。
1998年、金融危機で弱気一辺倒になっていたことに加え、日本にはまだ余裕があると皆がタカをくくっていたために、日本では誰もリスクを取らなかった結果です。



その後9.11やイラク情勢等紆余曲折あるものの、世界的な好景気は中国などが牽引役となって、リーマンショックまで続きます。その間、日本の景気を引っ張ったのは輸出企業です。輸出企業は95年の円高不況で、生産拠点の分散や海外進出を真剣に行なっていました。日本の金融機関や不動産業が軒並み海外撤退したのとは真逆のリスクテイクです。2000年以降の日本では、メーカーや商社が日本のプレゼンスをなんとか維持したのです。
しかし個人はデフレの魔力に翻弄されます。個人にとってデフレほど楽しいものはありません。買い物しててもどんどん安くなるわけですから、そんなときは毎週でもドン・キホーテ通いです。ところがそのうち買いたいものが徐々に一巡してきます。来週はもっと値が下がるかもと思って逆に購買意欲が削がれるのです。そうこうしている間に内需関連の収益率が悪化してきますから、徐々に雇用は非正規化、時給も下がる、値崩れ在庫を抱えた業者は倒産と、個人の収入も減少してきます。日本の雇用者を全員一律にはリストラできませんから、雇用が安定していてデフレを何とも思わない人と、デフレのあおりで突然行くアテのなくなる人とに大きくわかれてしまいす。もちろん行くアテがなくなれば、この危機的状況に気が付きますが、一方で安定している人は引き続きデフレの買い物をエンジョイしています。勝ち組、負け組とか言われていますが、逆に生き残った勝ち組は、デフレのぬるま湯にどっぷり浸かっているため、リスクに対する感受性を失っています。

ところが、皮肉にも世界的な危機であるはずのリーマンショックで、もっとも傷が浅かった主要国が日本でした。それは日本の金融機関の痛みが少なかったからです。アメリカの金融機関ではその前にサブプライム問題という前哨戦がありましたから、生き残り競争でも明らかに体力不足です。一方で、世界へ進出しないというガラパゴス戦略で大したリスクを取っていなかった邦銀は蚊帳の外になったわけです。少々乱暴ですが、ここで日本でも一波乱あった方が却って個人の危機意識が高まったのではないでしょうか。

実は、仮にここで1つや2つ日本の銀行が倒産したくらいでは、山一拓銀の再来にはならなかったのです。なぜなら、この10年間で預金保険の財務内容は大幅に改善され、保険金を支払う体力が十分にあるからです。というのも2002年以降預金保険料は大幅にアップされ、現在では決済性預金の保険料は年率0.107%になっています。これは実質的に預金者の負担です。私たちは普通預金金利は本来銀行が付けれくれるであろう金利から0.107%を差し引いた残りかすをもらっているのです。

結果、日本の金融業界は100年に一度の金融危機を無難にこなした優良な国、よって日本は安全だから、安全志向資産が集まり円高になったという話がまことしやかに報道されるにまで至ったのです。

しかし、リーマンショックを上手くかわしたところで、税収面のメリットは全くありません。善後策もありません。雇用は悪化し、頼みの綱の輸出企業は円高で苦戦、ついに貿易収支が単月で赤字になる始末です。これだけ内需が縮小しているのに輸入の方がおおいとはよっぽどのことですよね。にもかかわらず、リーマンショックでも尚、日本人の多くは、明日は我が身と思っていないのです。

ただし、富裕層は事情が異なります。富裕層の資金は運用のグローバル化が進んでいるので、日本人の富裕層の数は世界レベルと同じく3割も減ったと言われていますし、その資産残高も軽くて3割減、半減以下という資産家も多いはずです。

このように、徐々に日本人の中でもリスクとは何かを身を以て理解している層が増えてきています。それは所得層でいえば、2000年以降下から順番に、そして2008年以降は上からも順番にです。

さて、ここで2009年からは危機を乗り越えた安堵感でマーケットは急速に値を戻しました。リーマンショックに耐えた投資家には生き残り合戦に勝利した褒美がまっていたのです。欧米ではこのチャンスを逃すものかとばかりに、低金利政策をとって景気をテコ入れします。マーケットに資金が返ってきました。皆が取るべきリスクを取ったことが幸いしたのです。
ところが日本では取れる政策が限られています。出動する財政もなく、金利を下げたくてももともとゼロです。またも個人はリスクをとりません。日本の10年以上続くデフレは100年後の経済学の書物にも載ることになるでしょうね。デフレスパイラルはハイパーインフレよりも悪質だと。

ただ、この戻りのペースは早すぎたようです。冷静に考えれば、世界の実体経済の回復のペースをはるかに上回る上昇でしたので、今回のギリシャ危機をきっかけに大きく調整が入ってもある意味致し方無いのかもしれません。マーケットは安全資産への回避をキーワードに一斉に値を下げました。安全資産への回避といえば想像の通りです。またも最初からリスクを取らなかった日本の個人マネーだけが安泰との考え方を肯定する状況となっているのです。

では日本人にとって、何もしない戦略がこの先も機能するのでしょうか。



日本は極めて特殊な国で、中間層が最も多くを占めています。私は余裕層と呼んでいます。資産的にだけでなく、時間的にとか社会的にとかという意味も含めての余裕のある人達のことです。

この余裕層が、今なおリスクについて無頓着になっています。今、なにか拠り所があるからかもしれませんし、周りを見渡してみてもさほど危機感がないからかもしれません。あるいはリスクを取って失敗した人を、それ見たことかという蔑みの気持ちがそうさせているのかもしれません。
確かにバブル期以降、円の定額貯金で寝かせておいた方が余計な投資をするより、よっぽど良かったかもしれません。しかしそれはそれまでに先輩たちが積み上げ得た、世界一の技術力と生産性のスネをカジっていただけということも認識しなければなりません。経済を輸出企業に頼るというのはそういうことです。

経済を支える主たる3部門、公共、企業、個人のうち、公共部門はこの財政状況に加え復興に注力しなければならないことを考えると、打つ手はありません。企業部門では円高と輸入すべき資源価格の高止まりによって輸出力は衰えるばかりで、ますます海外移転というリスクを取って生き残りをかけるでしょう。となると日本を立て直すには、余裕の気持ちで日本に残っている個人から吐き出させることになることは明白です。

私はこの状況が本当の意味で健在化するのは2015年だと考えています。IMFの予測によれば、この年、日本の公的債務残高と個人資産残高が逆転します。その時、個人にとってリスクを取らないことこそがリスクだということに気がつくことでしょう。この時慌てて投資に向かっても遅いのです。20年間銀行員としてマーケットに携わり、自ら様々な商品に投資してきたものとして断言いたします。
投資は、一夜にしてならず。しかし継続は力なり。
そう、投資破断というものは自分の過去の経験がモノをいう世界です。良いアドバイザーはその経験の手助けをしてくれるだけです。

私は決して亡国論者ではありませんが、その時、国家の借金はその主権者たる国民が返済しなければならないことは承知しています。日本国民ですから。となれば個人の資産を供出するか、タダ働きして奉仕するかのいずれかでしょう。

私は幸いにもまだ健康で働き盛りなので、勝手ながら後者を取らせてもらいます。その代わり、自身の資産の方は基本に充実に海外へ分散投資を行ない、経験を積み上げていきます。いかなる環境でも、どんな少額でも投資は続けます。やめると経験が途切れるからです。そのためにも的確な投資先の選定ができるよう、ブログを通じて日々調査をつづけていきたいと思います。



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